「病気を治す」という目的が同じとはいえ、西洋医学と東洋医学の違いは何でしょう?
ある人が総合病院に行ったとします。眼がかすむのは眼科へ行き、トイレの回数が多いのは泌尿器科に行くなど、個々の疾患別に治療科が分れています。血液検査や画像検査を行い、科学的根拠に基づいた症状や疾患名を明確にします。西洋医学ではそれぞれの症状に応じた薬や手術で原因を取り除きます。
ところが、東洋医学ではかすみ眼も頻尿も体のホメオスタシス(自己回復力)が低下した状態としてトータルに治療します。患者の訴えを聴き顔色や病態を観察して、その人の証にあった漢方薬や施術で自己回復力を高めます。つまり、外部から侵食を与えるのではなく自分で治す力を促すのです。
この違いは人体は機能をもった生理学的物質ととらえる西洋医学、身体全体を証(体質)としてのとらえる東洋医学の考え方に由来しています。
これからの高齢化社会に向かい元気に生活できる「健康寿命」を伸ばそうと、厚生労働省では「治療から予防へ」を推進しています。病気を除去して治療することが目的の西洋医学から、体質や生活習慣の改善が大切という東洋医学の「未病」という方向に沿ってきたともいえます。
西洋医学は科学的根拠に基づいた実証主義です。その半面、東洋医学は経験主義という理由で冷遇されていた時代もありましたが、最近では一般病院でも鍼灸や漢方処方を行うなど、西洋医学の中に東洋医学を取り入れる傾向があります。
また、WHO(世界保健機関)では「痛み」の治療を重要視しており、各国の研究機関で鍼灸のメカニズムが論じられています。今後鍼灸は科学的根拠のある治療法として注目されていくことでしょう。さらに、東洋医学も人体の構造・機能・疾患、リハビリなど西洋医学を取り入れ、医療として社会のニーズに応えていく時代とも言えます。